ノラブログ ~ネットビジネスで生活できるか実験中~

※当サイトはPCユーザー向けです。スマートフォンや携帯電話では見づらい場合があるかもしれません。工事中の箇所も多数ございますが、細かい事は気にしないで下さい※

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

第03話「ノライヌ、相談する」


       この物語はフィクションです。

     実在する人物、団体とは関係ありませんが、

     その限りではありません。












     野良犬的インターネットの歩き方


                                     作:九八










第03話「ノライヌ、相談する」


すでに日は暮れていたが、そこは、眠らない街、新宿。

むしろ、人の数は増えているように感じられる。

野良犬は、西武新宿駅がある、駅ビル前の喫煙所にいた。


人気(ひとけ)が無い場所では平気で歩きタバコをするのだが、

人の目がある場所では、なるべく"マナーを守る愛煙家"のフリをしている。

とにかく面倒を嫌う、彼なりの生き方だ。

このことで、友人(犬)であるカイには、臆病だとか小心者だと馬鹿にされたりもするが、

それは否定する気も起きない事実であり、そういう時にはただ「やかましい」とだけ返した。


高田馬場からここまで来る途中、顧客にタバコを販売し、材料の巻紙も仕入れ、

とりあえず、ひと仕事を終えての一服をしているところであった。


いつもなら、この辺りにも顧客が何人かはいるのだが、今夜は見当たらない。

根城である、公園なり、地下なり、どこかに行っているのか。

あるいは、空き缶拾いの残業をしているのか。

または、ゴミ捨て場へお宝でも探しに行ってるのか。

互いに干渉せず、個人的な事情に深入りしないのが彼らのマナーだったし、

心底、どうでもいいことであった。


喫煙所からは、電気屋の街頭ビジョンが見える。

これから公開される洋画の宣伝や、新人アイドルのミュージックビデオが流れていた。

その画面下には、明日の天気予報が表示されており、

映画にもアイドルにも興味を示せないのは、同時に雨マークが表示されているからだろうか、

そんなことを考えながら、水の入った灰皿に火が着いたままのタバコを捨てた。


大ガードの下を走る靖国通り。

歩行者用の信号が青に変わると、大勢の人間が横断歩道を渡る。

老若男女が入り混じった、実に多種多様な人間たちの群れであった。

その群れの中に一匹、溝鼠(ドブネズミ)色をした雑種犬が歩いている。

誰一人、野良犬のことを気にしていない。


髪の色、肌の色、匂い、年齢、話す言語、脚の太さ、化粧の濃さ、筋肉の多さ、腹のデカさ、

それぞれの容姿や特徴は異なるのだが、

野良犬には彼ら人間が、全員、同じように見えることがあった。

もちろん、一人一人が別人であり、別々の生命として存在していると理解していたが、

雑種だろうと秋田犬だろうとヨークシャーテリアだろうとボストンテリアだろうと、

人間にとって、犬は犬でしかないように、

犬にとっても、人間は人間でしかない、

そういうことなのだろう、と自己完結していた。


横断歩道を渡り切った頃、向かって右方向に、顧客を数人、発見した。

歩きタバコと路上喫煙禁止に対する抵抗なのか、

歩道の脇にある植込みの上で、寝転びながらタバコを吸っている。

野良犬が話し掛けようとしたタイミングで、

その顧客に近づく者たちがいた。

路上喫煙等防止巡視員である。

彼らは、路上喫煙禁止地域において喫煙する者に対し、

注意をしたり、時に罰金を徴収するのが仕事で、

「シケモク(略)業」の野良犬にとって実に煙たい存在であった。

絡まれては面倒と、街頭ビジョンがある電気屋の前を、反対方向に歩く。

少し行くと、地下街からの出口付近に、再び顧客たちを二人見つけた。

今度の顧客はタバコを吸っておらず、手には数冊の漫画雑誌を持っている。

ヤニで染まった黄色い歯を見せて笑っている。

彼らのすぐそばには二畳ほどの広さのブルーシートが敷かれ、

数多くの漫画雑誌や書籍、単行本などが、その上に陳列されている。

露店である。

それらの漫画雑誌等は商品はである。

もちろん、店番がいる。

そいつは、陳列された商品を前に、腕を組み、胡坐をかいて座っていた。

カイだった。


「あ、どうも」

「よう」


簡素な挨拶であった。

野良犬と目が合うと、カイは会釈し、

それに対し野良犬は右手(足)を軽く上げて答えた。


手にしていた漫画雑誌をカイに渡す顧客。

物々交換するように、紙パックの酒を渡すカイ。

またよろしく、毎度どうも、そんな言葉が聞こえる。

依頼された葉でタバコを巻き、その報酬として巻紙を貰う。

目の前で行われる取引を観て、野良犬は、

自分と「OZORA」の店主との関係に似ていると思った。


カイは、野良犬と違い、ある路上生活者に飼われている飼い犬である。

その路上生活者は、野良犬にとっては顧客の一人であり、犬たちからはヌシと呼ばれていたが、

彼と親しい路上生活者たちもまた、彼のことをヌシと呼んでいた。

犬たちからすれば、飼い主だからヌシ、という安直なあだ名であったが、

路上生活者にとって、彼はこの地域一帯のヌシなのかもしれない、

実際にそう感じさせる人物であることを、野良犬は知っていた。

どこから持ってくるのか、紙パックの酒もヌシからの提供物であると聞いたことがある。

また、この「拾い集めた漫画雑誌等の露店商」も、ヌシの指示で行っているとカイに教えてもらった。


取引を終えた顧客たちが野良犬に会釈をして立ち去る。

どうやらタバコは不要らしい。

野良犬は頭を下げ見送った。


カイの方に目を向けると、露店の前にサラリーマンらしき男が立ち止まっていた。

漫画雑誌を物色しているようだ。

「先週のジャンプある?」

サラリーマンが訊ねる。

カイは組んでいた腕を解き、座ったままの姿勢で後ろを向き、

何やらビニール袋をガサガサと探し始めた。

数秒すると、一冊の漫画雑誌を取り出し、サラリーマンに差し出した。

さすが、と言わんばかりに嬉しそうな表情をする。

どうやら、先週のジャンプらしい。

手にしていた百円硬貨を店番であるカイに渡し、望みの品を受け取ると、

「また頼むよ」と告げ、露店に背を向け、足取り軽く新宿駅方面に向かっていった。


「お疲れ様です」

「うん」

「今日はもう、仕事、いいんですか?」

「あぁ、さっきの二人が最後だけど、いらないみたいだったし」

「不景気ッスからねぇ」

「まぁな」


「この後は?」

「いつも通りだよ」


先ほどのビニール袋からスマートフォンを取り出し、時間を確認するカイ。

時刻はすでに十九時を回っている。


「今日はそろそろ店じまいですかね」

「なぁ」

「はい?」

「前に言ってたアレ、教えてくんねーか?」

「?」

「パソコンで金がもらえるってやつ」

「あぁ」

「そろそろシケモク集めも難しくなってきてな」

「転職ですか、いいと思いますよ」

「素人でも平気なんだろ?」

「素人っていうか、えーと」

「うん」

「とりあえず、話長くなるんで」

「そうか、じゃあメシ喰いながらでも」

「ですね。なんで、本、しまっちゃいますよ」


そういうと、カイは無造作にブルーシートを畳み始めた。

畳二枚ほどの広さだったのが、あっという間にA4のノートサイズになった。

不思議なことだが、ブルーシートの上に目一杯広げられていた漫画雑誌等は、

どこかに消えてしまった。

そのブルーシートが、ただのブルーシートでないことは野良犬も知っていた。

それは「どこでも露店商」という未来の道具で、

広げれば、元通りに、陳列された状態で商品が出てくる便利グッズだ。

「自分は、タイムマシンに乗って三十四世紀から来た」と言うおじさんからもらったらしい。

また、先週のジャンプやスマホを取り出したビニール袋は

「四次元ビニール袋」という便利グッズで、同じく三十四世紀おじさんからもらったそうだ。

たしかに便利であることは間違いないが、畜生である野良犬にとって、

千年以上先の未来を想像するのは、面倒だった。


「何にします?」

「何でもいいよ」

「うどんはどうですか?」

「いいね」

「じゃ、適当に空いてるとこで」

「うん」


新宿の雑踏に姿を消す犬二匹。

軽い気持ちで小説のように書き始めてしまったことを反省しつつ、

ようやく、本編を書き出せそうな所に着地できたことに胸を撫で下ろす野良犬であった。
関連記事
フリーエリアのタイトル3
フリーエリアの内容3
フリーエリアのタイトル4
フリーエリアの内容4
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL

ここにタイトルを記述2
ここに好きなタグや文言を挿入2
[当サイトの広告掲載について]
■多くの広告を掲載しております

 当サイトは「ネットビジネスで生活できるか?」というテーマのもと運営しております。ここでいうネットビジネスとは主に広告掲載(バナーリンク)となっており、そのため非常に多くの広告が表示されております。コンテンツと区別がし辛いこともあるかもしれませんがご了承下さい。

■広告の見方

 掲載されている広告の見出しはすべて[スポンサードリンク]となっており、直下に広告提供元とバナーサイズ(横×縦、単位はピクセル)を表記しております。今後、より効果の高いものを紹介していく予定です。

■掲載されている広告の内容

 広告提供元サイトと提携している企業および商品、サービス等がランダムに表示されております。表示される広告は、当サイトの更新内容や閲覧されているユーザー様の検索履歴等によって異なる場合があるようです。当方にてアダルト関連の広告は表示されないよう設定しておりますが、万が一そういった広告や、有害だと思われる広告が掲載されておりましたらコメント等にご報告頂けると有難いです。

■広告収入について

 広告バナーが表示された回数、広告バナーがクリックされた回数に応じて収入が発生する仕組みを利用しています。詳細につきましては検証を重ねた後に記事にて報告致します。興味がある商品、サービス等が表示されていた際、ご覧頂ければ幸いです。
norabgm
[スポンサードリンク]
from google adsense(300x250)
[スポンサードリンク]
from pitta!(300x250)
リンク
■グループタイトルその1

ヤフー
グーグル

[スポンサードリンク]
from 忍者AdMax(300x250)
[スポンサードリンク]
from google adsense(300x600)


ここにタイトルを記述
ここに好きなタグや文言を挿入
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。